内臓の疾患によって肩のハリが起こることがあります。内臓の疾患が起こると神経を介して、肩周辺に異常な感覚を引き起こすからです。
しかし、どのような肩のハリを感じたら注意が必要なのかはあまり知られていないですよね。そこで本記事では、肩のハリの特徴と内臓の疾患の関係について解説していきます。
具体的には以下のことが解説されています。
- 肩のハリと内臓の関係
- 肩のハリの症状がでる代表的な疾患
- 内臓の疲れと肩のハリの関係
本記事を読むことによって危険な肩のハリの見分けがつくようになり、適切な対処ができるようになります。是非、ご覧ください。
肩こりと内臓の病気の関係
内臓の病気になると肩のハリとして現れることがあります。内臓の病気が神経を介して肩周辺を刺激してしまうからです。これを専門用語で放散痛や関連痛といったりもします。
普段と違う肩のハリを感じたと思ったら実は内臓の疾患だった・・・そんな話も時折耳にします。
肩のハリが必ずしも疾患の兆候ではありません。可能性としては低いので安心して頂きたいのですが、心配な方は検査を受けることもおすすめします。
肩こりの症状がでる代表的な疾患
肩のハリを起こす可能性のある代表的な疾患をご紹介します。以下の5つが有名です。
- 狭心症・心筋梗塞
- 肝臓や胆嚢の疾患
- 胸郭出口症候群
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
ひとつずつ解説していきます。
狭心症や心筋梗塞では左肩の痛みが特徴的
狭窄症や心筋梗塞では肩のハリだけでなく、左肩に痛みが出ることもあります。これは放散痛と呼び、神経を介して別の箇所に痛みがでることをいいます。
左肩だけでなく、時にはみぞおち、腕、顎などに痛みがでるケースもあるようです。
▼狭心症とは
心臓の血管につまりがあることによって、血液供給が少なくなってしまった状態。血液供給が少なくなると、血が足りなくなり不快な症状として現れます。
▼心筋梗塞とは
狭心症よりも進行した状態です。血管がつまってしまい、血液供給がストップしてしまいます。細胞が壊死してしまうので、一刻を争う状況です。
肝臓や胆嚢の疾患では右肩に痛みがでることもある
肝臓や胆嚢の疾患では右肩に症状がでることもあります。肝臓と胆嚢は肩から離れていますが、横隔膜や神経を介して放散痛を出してしまうからです。
具体的には肝臓がんの際に右肩に出る可能性があります。横隔膜にがんが転移してしまうことによるものです。また、急性胆のう炎はさまざまな症状がある中で時には左肩のハリや背中の痛みが出現します。
▼肝臓がん
肝臓がんは男性のがん発生率の中で3位に位置する疾患です。初期症状があまり現れないこともあり、発見までに時間がかかるケースもあります。
▼急性胆のう炎
胆嚢が急性炎症を起こしてしまうことをいいます。急性胆のう炎を起こしやすい5つのFというものがあります。
40歳以上(Forty)、女性(Female)、肥満(Fatty)、多産(Fecund)、白人(Fair)。この項目に多く該当する方は起こりやすいと言われています。
胸郭出口症候群、頚椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症では手にしびれがでる
胸郭出口症候群や頸椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症では肩のハリだけでなく、腕のしびれもでるケースがあります。いずれの疾患もなんらかの原因で神経を圧迫してしまうからです。
内臓が原因ではありませんが、これらの疾患はよくみられるものなので注意が必要です。
▼胸郭出口症候群
鎖骨などで神経や血管を圧迫してしまう疾患。
▼椎間板ヘルニア
椎間板の中にある髄核という組織が神経を圧迫してしまう疾患。
▼脊柱管狭窄
背骨の変形にが起こり、神経を圧迫してしまう疾患。
内臓の疲れでも肩こりは起こるの?
内臓の疲れでも肩のハリは起こる可能性があります。内臓の働きの低下によって、筋肉などの疲労もうまく処理できず肩のハリとして出現することもあるからです。
具体的には以下のようなときに内臓の疲れが起こりやすいと言われています。
- お酒の飲み過ぎ
- 糖質・炭水化物の食べ過ぎ
- 睡眠不足
ひとつずつ解説していきます。
お酒の飲み過ぎ
お酒の多く飲むとビタミンやミネラルが大量に消費します。なぜなら、アルコールに分解に大量のビタミン、ミネラルが必要だからです。
そのため、内臓で使うはずの栄養素が不足してしまい内臓の疲れへとつながることもあるのです。
糖質・炭水化物の食べ過ぎ
糖質や炭水化物の食べ過ぎでも内臓の疲れが起こることがあります。理由は以下の2つです。
- ビタミンBを大量に消費してしまう
- 消費に時間がかかる
糖質や炭水化物を摂取するとビタミンBを使って、処理しようとします。そのため内臓の働きに必要なビタミンBを確保することができず、疲れとして現れます。
また、炭水化物の中に食物繊維が含まれています。そのため消化に時間がかかることもあります。消化に時間がかかれば、その分胃腸に負担がかかってしまうのです。
睡眠不足
睡眠不足になると内臓の疲れが出やすくなります。睡眠中は体の細胞が回復する期間であり、その時間が少ないとうまくケアできないからです。
そのため、睡眠をしっかりとることによって内臓の疲れをケアすることができます。
まとめ
肩のハリがときに内臓の疾患が原因になっていることがあります。内臓の疾患が起こると神経を介して、放散痛と呼ばれるものが起こるからです。
可能性としては低いですが、誰にでも起こります。そのためいつもと違う肩のハリを感じた場合は検査に行くのも良いでしょう。
参考文献
「川崎医科大学」
「日本臨床内科医会」
「メディカルノート|急性胆嚢炎の原因と症状とは?右上腹部に鈍い痛みが現れる」
「シオノギ製薬」