腰椎椎間板ヘルニアをはじめとした腰の病気では牽引療法が昔から用いられています。
ご覧頂いている方の中でも整形外科や接骨院で大きな機械で腰を引っ張られたことがある方もいらっしゃるかと思います。
では、腰の牽引療法はどこの整形外科や接骨院でも当り前のように行われているかと言えばそうではありません。
実は、腰の牽引療法の見解は整形外科や接骨院の先生により異なり、中には牽引療法をおすすめしない先生方もいるほどです。
今回は腰椎椎間板ヘルニアに対して腰牽引療法は効果があるのか?を解説していきたいと思います。
そもそも牽引治療とはなにか?
牽引療法とはシンプルに言えば腰を引っ張る治療方法です。
例えば、腰椎椎間板ヘルニアという腰の骨と腰の骨の間にある椎間板というクッションが潰れてしまい髄核という中身が飛び出してしまう病気では、腰の骨と腰の骨に潰されてしまった椎間板の負担を軽くするために専用の器械で腰を引っ張ります。
これが牽引療法と呼ばれるものです。
牽引療法は腰だけではなく、首にも用いられる療法で多くの整形外科・接骨院で導入されている療法のひとつです。
腰椎椎間板ヘルニアに対しての牽引治療の有効性ははっきりしていない
一見牽引療法は、シンプルな方法で効果も絶大だと思われがちですが、実は腰痛椎間板ヘルニアに対しての腰牽引療法は明確な効果は明らかになっていないとされています。
腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版)では、牽引療法と他の治療法を比較検討した腰痛関連の論文の中で腰痛椎間板ヘルニアに対して牽引療法を有効性のある治療法としている論文はないとしています。
また、腰牽引は基本的には体重の1/2~1/5程度の重量負荷を掛けて行うものですが、最も重視されるのが患者様の主観となるため、患者様によっては高負荷となってしまう場合があり筋肉や周辺組織に負担を掛けてしまい症状が悪化してしまう事例もあります。
整形外科や整骨院の中では牽引療法を導入していない施設もあり、その効果ははっきりとしないものになっています。
牽引治療はどのような症状に効果があると言われているの?
【腰牽引療法が有効な症状】
・腰椎椎間板ヘルニアの急性期
・急性腰痛(ぎっく腰)
・慢性腰痛
腰痛椎間板ヘルニアに対しての腰牽引療法のはっきりとした有効性は明らかになっていませんが、もちろん一定の効果を出しているという報告自体はあります。
例えば、腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版)では、急性期(発症後6週間以内)への腰牽引療法により痺れなどの症状改善があった報告もされています。
しかし、慢性期には効果が見られないむねの報告もされているため腰痛椎間板ヘルニアなど腰に違和感を覚えた場合は直ぐに最寄りの専門施設へ来院することが大切でしょう。
また急性腰痛・慢性腰痛に対しての腰牽引療法は数例有効性があるむねの報告がされています。
まとめ
腰椎椎間板ヘルニアを改善するには魔法はありません。牽引療法が腰椎椎間板ヘルニアに有効性があるか明確ではないとお伝えしましたが、そのほかの治療方法でも同様のことが言えます。
つまり腰痛椎間板ヘルニアを改善するには地道な様々な治療が必要になるということです。
もちろん、日常生活の姿勢や身体の使い方を気を付けることも治療の一環ですし、運動やストレッチなどのセルフケアを大事な治療です。